「下水道料金は水道使用量で決まるもの。減らす方法などない」——そう考えているホテル経営者・施設管理者の方は少なくありません。
しかし実際には、下水道に流れていない水にまで料金を払っているケースが数多くあります。京都市内のホテルで下水道料金の25%削減を実現した事例をご紹介します。
なぜホテルは「払いすぎ」になりやすいのか
下水道料金は「水道使用量=排水量」で計算されている
下水道料金の基本的な考え方は非常にシンプルです。
水道メーターの検針値をそのまま排水量とみなして課金する
これがほとんどの自治体の算定方式です。実際に下水管へ流れた量を測っているわけではありません。「使った水はすべて下水に流れる」という前提で計算されています。
ホテルには「下水に流れない水」が大量にある
ところが、ホテルという施設は、この前提から大きく外れた使い方をしています。
大浴場・浴室からの蒸発
大浴場や露天風呂を備えたホテルでは、湯面から常に水蒸気が立ち上がっています。営業時間中ずっと蒸発が続くため、積み上がる量は決して小さくありません。この水は下水管には流れていません。
厨房での蒸発
朝食ビュッフェ、レストラン、宴会場など、ホテルの厨房は稼働量が多い設備です。煮る・炊く・蒸す・湯を沸かす、すべての工程で水が蒸気に変わって消えていきます。
宿泊客の体内に入る水
客室の飲料水、レストランで提供する飲み物、食事に含まれる水分。これらは宿泊客の体内に入り、下水道には流れません。
庭園・外構への散水
京都のホテルでは日本庭園や打ち水の文化を取り入れている施設も多くあります。散水した水は地面に浸透・蒸発し、下水管には入りません。
空調・加湿設備での消失
大型の空調設備や加湿装置を持つ施設では、ここでも水が蒸気として消えていきます。
これらはすべて「排水していない水」です。にもかかわらず、下水道料金は水道使用量の全量で請求されています。
京都市のホテルで25%削減を実現
排水量を実測して申請
今回の京都市内のホテルでは、実際の排水量を把握するために排水メーターを設置し、水道使用量と排水量の差を測定しました。
測定の結果、水道使用量のうち相当量が下水道に流れていないことがデータで裏付けられました。主な要因は大浴場と厨房での蒸発でした。
この実測データをもとに自治体へ申請を行い、下水道料金の25%削減が認められました。
削減インパクトはどれくらいか
宿泊施設の下水道料金は規模によって幅がありますが、たとえば月額200万円を支払っている施設であれば——
※ 削減率25%は当該ホテルでの実績です。金額は月額200万円を支払っている施設を想定した試算であり、実際の削減額は施設規模・自治体・水の使い方により異なります。
これが毎年続きます。しかも一度認められれば、削減された料金体系がその後も継続します。
水道光熱費が上がり続けるなかで、固定費そのものを下げられるというのは、ホテル経営にとって大きな意味を持ちます。
京都市は下水道コスト削減の余地が大きい
京都市には、宿泊施設だけでなく多くの工場が集まっています。そして下水減免の対象になりやすい施設が数多く存在します。
- ホテル・旅館 … 大浴場の蒸発、厨房、庭園散水
- 工場 … 製品含有水、加熱工程での蒸発、冷却水
- 銭湯・温浴施設 … 湯面からの蒸発量が非常に大きい
- クリーニング・ランドリー … 乾燥工程での蒸発
- 飲食店・給食施設 … 調理時の蒸発と食品含有水
特に長年営業を続けている施設では、開業以来一度も下水道料金の算定を見直していないケースが目立ちます。「ずっとこの金額だから」という前提が、そのまま過払いを固定してしまっている状態です。
POINT / まとめ
- 下水道料金は「水道使用量=排水量」として計算されている
- しかしホテルには、浴場・厨房の蒸発、宿泊客の飲用、散水など下水に流れない水が大量にある
- 京都市内のホテルでは、排水メーターによる実測と申請で下水道料金25%削減を実現
- 削減効果は毎年継続するため、固定費構造そのものが改善される
- 京都市は工場・ホテルが多く、下水道コスト削減の余地が大きいエリア
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